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民宿 焼畑

宮崎県
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お蕎麦屋さんでは無いのですが、焼畑でソバ収穫している民宿へ出掛けてきました。
以前から出掛けてみたいと思っていた民宿です。

南国宮崎は温かいところかと思ってましたが、椎葉村は寒かったですよ。
『民宿 焼畑』のクニ子おばあちゃん曰く「九州の北海道」だそうです。

椎葉村中心部までは比較的広い道で走りやすいのですが、役場の辺りからは道が細くなり、常にハンドルを右へ左へと動かすことになります。

蕎麦

役場から民宿焼畑さんまでは20km程なのですが、40分以上かかったでしょうか。
意外と遠く感じました。

蕎麦

途中、ぽつりぽつりと民家が現れるのにも驚きますが、こんなところで民宿なんてねぇ。
『民宿 焼畑』の看板から急な坂を下ると、この辺りに多い一列型平面形式の民家、『民宿 焼畑』に到着です。

『民宿 焼畑』に着くとご主人と奥様が迎えてくれましたが、まだ部屋が暖まってないからと、クニ子おばあちゃんの部屋のこたつで夕飯まで待たせて頂くことになりました。

クニ子おばあちゃんは焼畑や山野草の話題などでTVに出演したり、映画化されたり、本も何冊か出されているという有名人。
2時間ほどクニ子おばあちゃんと2人きりでお話をお聞きできたのはラッキーですね。
今回は蕎麦よりもクニ子おばあちゃんに会いたかったのが、椎葉に出掛けた動機なんです。

焼畑の話しや山の植物、ご家族のこと、平家の落人伝説、今までに受けた取材の話しなど、写真を見せて頂きながらお話をお聞きすることが出来ました。
あっという間に2時間が過ぎて夕食の時間です。

母屋へ移動して囲炉裏の前に座ります。

蕎麦

母屋は椎葉独特の形式の建物で、横一列に部屋が並んでいます。

蕎麦

村中心部にある国指定重要文化財の鶴富屋敷の間取りを見ると上の図のようになっているのですが、『民宿 焼畑』の母屋も同じ様な作りになっています。
山の中の平地が少ない場所に建てられるよう、工夫してあるのでしょうね。

さて、夕食もおばあちゃんが給仕してくれました。

蕎麦

山の幸が勢揃いといった感ですね。
他にも蒟蒻の酢味噌和えや木綿豆腐のステーキなど、食べきれないほどのボリュームです。

蕎麦

刺身はまだ凍ってますが、鶏のたたきと鹿刺しです。

蕎麦

天ぷらは栗、菊の花、ゲンノショウコ、人参の葉、ヨモギ、母子草(オギョウ)他にも野草が沢山。(お聞きしたけど忘れちゃいました。^_^;)

蕎麦

ヤマメが焼き上がるのを待ちながらビールをグビッといってます。
さらに椎茸を網の上で焼きながら飲み、幸せなひととき。

蕎麦

ご飯と一緒に汁が運ばれてきましたが、これが蕎麦を使った郷土料理の「わくど汁」です。
“わくど”とは蛙のことで、煮えた鍋の中に一口大の蕎麦団子を入れ、浮いたり沈んだりする蕎麦団子が蛙の姿に似ていることから名付けられたそうですよ。

蕎麦

蕎麦団子の他には椎茸や平家大根の葉などが入ってます。
雪が舞うような寒い夜なので、体が温まりますよ。

食後はお風呂に入って、布団の中に入ります。
かなり寒くて夜を越せるのかと思うぐらいですが、布団の中の湯たんぽが心の支え。(笑)

蕎麦

携帯は3キャリアとも電波が届かず、イーモバイルも圏外、もちろん無線LANなど無く、テレビを見ない私には長い夜です。。。
仕方なく寝たのですが、朝目が覚めるのが早いこと。

昨晩あれだけ食べたにもかかわらず、朝はやっぱりお腹が空いている。
たいしたものです。

蕎麦

囲炉裏の上では草餅が焼かれています。

蕎麦

ヨモギの香りがして、そのまま何もつけなくても美味しいですよ。

蕎麦

お味噌汁の中には大きなナメコが入ってます。

蕎麦

朝食には特別にそばがきを作っていただきました。
本当は蕎麦を予約していたのですが、ちょっとした手違いで用意して頂けなかったのです。

蕎麦

焼畑の蕎麦を手回しの石臼で挽いた、玄蕎麦挽きぐるみのそばがきです。
蕎麦の香りがブワーっと広がる美味しいそばがき。
そして粘りがとても強いですよ。(硬いわけではないです。)

これはやっぱり蕎麦を食べてみたかったですね。

食後に焼畑を見に行きたいとお願いしたら「いいですよ。」と快い返事。
しかもクニ子おばあちゃんが案内してくれるそうです。

今年焼いたところは家から近くて、車で1分ぐらいのところ。

蕎麦

畑というからもっと傾斜の緩いところかと思ったら、どえらい急斜面です。
畑の上に行きたいけど、うっすらと雪が積もったこの斜面は登れません。
ぐるりと迂回して畑の上に登ってみました。

蕎麦

途中から急勾配になっているので、下の道が見えませんねぇ。
下には車が止めてあるのですが。。。

焼畑は焼く前の年の秋に「抜開(やぼきり)」といって木を切り焼く準備をします。

蕎麦

だから、畑といっても切り株だらけで、畑には見えないんです。

山を焼いた後に、1年目は蕎麦を、2年目は粟・稗、3年目は小豆、4年目に大豆、5年目には杉や椚を植えると翌年からは「荒らし」といって、20年以上は寝かせることになります。

毎年順番に焼く場所を変えていくわけですが、まだ同じ所を焼いたことは無いそうですよ。
どれだけ広い山を持っているのでしょうね。

蕎麦

蕎麦は丑の日から4日後ぐらいを目安にその年の気候に応じて蒔く日を変えるそうです。
焼いた後の煙がまだ消えないうちに種を蒔くそうですが、お話を聞いていると種を蒔くというよりは、ばらまくといった感じ。

蒔いてから75日で収穫ですが、暖かい日が続くと蕎麦は上を向いて花を開き、実がならない。
寒い日が続くと花は下を向いて開き、実が良くなるそうです。
蒔くタイミングが難しいですね。
「自然には勝てないから、人間が自然に合わせるしかない。」と仰ってました。

蕎麦

今回は雪の舞うような寒い時期に出掛けましたが、来年もう一度、温かくなった頃に出掛けてみたいですね。
今回は蕎麦が食べられなかったですし、玄蕎麦を見せて頂くのも忘れてました。
クニ子おばあちゃんのお話が楽しくて、蕎麦のことをすっかり忘れてましたね。(笑)

来年、また必ず。。。

コメント

  1. Z33 より:

    囲炉裏端にズラリと並べられた地の物の数々…、良いですねー。
    右端に写っているシイタケを網で焼くってところがまた…。
    朝食もまさに宿屋の定番、シンプルで美味しそうです。
    そば切りは残念でしたが、そばがきと夕朝食がそれを補って余りあったかとお察しします。

  2. den より:

    すごい場所ですね。
    宮崎というより熊本の五木村の方が近い感じです(道路があれば)。

  3. marsh より:

    そうですね。一番最後の写真の、山の向こう側が五家荘だそうです。
    道はあるようですよ。

  4. marsh より:

    ほとんどが『民宿 焼畑』さんのところで採れた物だそうです。素朴な田舎料理ですが、これが一番ですね。
    次回は春の山菜の頃に出掛けてみたいです。

  5. やぶとら より:

    「民宿焼畑」の食事、おいしそうですね。なんか、田舎のごちそうって感じで、まず、おいしいものが食べたいっていう気持ちがあって、見かけは二の次。でもおいしいよ、という料理なんでしょうかね。蕎麦切り、食べてみたかったですね。面白いレポート、ありがとうございました。

  6. marsh より:

    はい。田舎のごちそうです。都会に行けば同じ材料でも、もっと美味しく見た目良く作られていると思いますが、この場所とおばあちゃんや奥様の人柄などが加わって一味違ったものに感じられます。
    蕎麦はまた次回のお楽しみということで。(笑)

  7. 那須 より:

    椎葉の民宿を紹介してくださってありがとうございます。
    椎葉在住です。と言っても椎葉村はあまりに広くて、行ったことのない集落ばかりです。残念なことに、「焼畑」にもです。

    こうやって、村外の方から椎葉の良さを再確認させてもらうこと、しばしばです。不便なことも多いんですが、誰かを温かい気持ちにできる村であることに感謝してます。

    作家の乃南アサさん著「しゃぼん玉」は椎葉村が舞台になって
    ますが、登場人物の「スマ」という老婆が本当にいたら、クニ子さんみたいな人じゃないかなぁと勝手に思ってます。
    機会があったら一度手に取ってみてくださいね。椎葉の山々が思い浮かぶと思います。

  8. marsh より:

    那須さん、初めまして。
    私も田舎育ちなので椎葉の雰囲気に癒されました。春になったら、また出掛けてみようかと思っています。
    「しゃぼん玉」のあらすじをチェックしてきました。面白そうな本ですね。椎葉へ出掛ける前に読んでみたいと思います。

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